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11.17.00:00

宇宙うさ第6期 作業報告書 1号(2016年前半)



〜 CANDYMETEOR スペースバイオ研究所 所長手記より 〜

2116年も明けてまだ間もない頃、その悪夢の計画は始まった。
先日地球を襲ったばかりの巨大植物怪獣の種子のかけら、さらに、事故で消滅した軍事施設付近から採取された地球外生物の細胞サンプルが、当バイオ研究所へ持ち込まれたのだ。
それぞれの生命体のクローンを100体以上、身長12センチ前後の幼体固定で提出するようにとの最高レベル極秘オーダーだ。

どちらかたった1体ですら、地球を滅ぼしかねない大変危険なものだ。全く狂気の沙汰である。
しかし、当研究所もすっかり予算を削られて解体寸前なのだ。背に腹は替えられぬ。地球人類の命運を金で売り渡してしまった。
私は、取り返しのつかない過ちを犯してしまった。

神よ、お許し下さい。



◆ 報告書第一号 「脈動」 2116年前半 ◆

※お遊びで、SF調の報告書となっております。日付はちょうど100年後です。




まずは、宇宙植物の頭部(?)側面、2対の小型触手の培養からスタートする。
小さいとはいえ、惑星捕食時には惑星の地表に打ち込み錨の役目をするようだ。
また、触手の先端部を震わせて人の言葉を話すことも可能だという。
実に恐ろしい、究極の宇宙生物だ。


2116/02/05 おおまかに成長したところ。まだ形状は不安定である。


2116/02/11 成長過程でいくつかの亜種が見られたが、枯れてしまった。


2116/02/16 髪のように見える部分も、植物に近い形状を保っている。


2116/02/19 おおむね、母体と同様の形状で落ち着いたようだ。




平行して、宇宙生物汚染機体の復元にとりかかる。
これは元来、地球製の宇宙用小型ロボット(弊社スペースラビットシリーズ)だ。
暗黒物質空域を航行中に宇宙生物に汚染され、本体や電子頭脳を浸食されてしまった。
外観的には元の機体の面影を残しているが、構成素材は別の物質に置換され、形状も禍々しいものとなっている。
今回の復元にあたり、汚染されていない機体(スワロウテイル)を細胞の培地として使用している。


2116/01/24 培養初期段階。まだ元の機体のイメージを残す。


2116/02/26 培養が進んだ状態。汚染細胞が末端まで浸食し、肥大化している。


2116/03/09 報告書にあった検体に近い状態で、なんとか成長を制御することができた。






2116/03/24 細かい生体パーツも、平行して培養を進めている。


2116/04/02 「ティランジア」頭頂部に露出した葉緑体結晶も、成長過程でいくつかの派生が見られた。


2116/05/25 一次原型の完成。ここでいちど複製をとり、加工しやすい素材に置換し、さらに細かい作業工程に入る。






2116/06/16 「やみみゅー」顔面部の形成。なかなか指示書どおりにいかない。


2116/06/29 「やみみゅー」顔面部、ほぼ形状が固まる。なんとも不吉な表情だ。


2116/06/14 「ティランジア」顔面部は、それほど問題なく形成することができた。






2116/06/30 やみみゅー頭部 マスター原型の完成。


2116/07/04 ティランジア頭部 マスター原型の完成。


すでに当初の予定からかなりスケジュールがずれ込んでいる。
しかし、まだ大丈夫だろう。慌てる時間ではない。






2116/06/10 ティランジア背面、2対の大型触手の培養スタート。地球産の生体パーツでおおまかなイメージをつかむ。


2116/07/16 大型触手基部の形成。可動範囲が狭いため、のちに改修された。


2116/07/18 平行して、先端部も培養する。一見すると地球産の植物によく似ている。


2116/07/19 触手内部構造の決定。自在に曲がることができる。






2016/07/19 頭部、触手、全ての原型が揃った。


2116/08/04 クローン試験体(完成見本サンプル)の作成に入る。まずは鋳型(シリコン製)の制作。


2116/08/13 取り出された1号テストショット。状態は良好だ。


2116/08/15 背面触手のテストショット。曲線のシルエットと透けるグリーンが美しい。 


2116/08/17 「ティランジア」クローン試験体1号完成。


2116/08/17 「やみみゅー」クローン試験体1号完成。
どちらもなかなかかわいいのではないだろうか。


一見滞りなく試験体の完成まで到達したように見えるが、改善すべき問題点も多々見つかった。
本格的な量産の前に、細かく対処しなければならない。


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